背伸びのままで。

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「インフルエンザの可能性が高い」 ~インフォームド・コンセントって難しい~

このたび「インフルエンザの可能性が高い」と診断されましたので、出勤できない状況を自分で選びました。

 

診断内容としては、以下のようなものでした。

・検査は陰性

・症状から見るに8割がたインフルエンザだ

・発症日を考慮すると、まだ検査にかからない段階の可能性は高い

 

その上で以下の2択の判断を仰がれました。

A) インフルエンザだと判断して、インフルエンザの治療を進める

B) 経過観察して、翌日か翌々日に再度検査し、その結果に合わせて治療する

 

インフォームド・コンセントって難しいなぁ」と感じたので、インフォームド・コンセントに関する情報を探し、分かりやすいインタビューは以下で見つけました。

「インフォームド・コンセントの現状と課題」北里大学 客員教授 唄孝一氏(医療安全推進者ネットワーク - 医療安全推進者ネットワーク)

 

ただ、ここには記述されていない点で、今回気になる部分がいくつかあったので、今回はそれをまとめたいと思います。

 

知識の差がある

そもそも、患者は前提知識も無いですし、検査結果も正確には知らされません。検査の表示やプロセスを知っても、理解できません。

判断の材料が少ない中、短時間で意思決定をすることは非常に難しいと言えます。

 

正確に確率をとらえられない

今回、自分に与えられた選択肢は、「8割がたの可能性を信じてすぐ動く」か、「2割の部分が分かるまで待つ」、という2択になります。

しかし、8割でも2割でも、心理的に50:50の決断に近い。確率を感覚的に数字通りに認識できないのです。そんななか、自己責任で診断を選ぶというのは非常に難しいと思いました。

もっというと「8割がた」という医師の表現は8割を指すかどうかも怪しいものです。「9割がた」よりは低そうですが、数字に正確な意味はないかもしれません。

 

利害をふまえた判断が必要

私は関係者に感染することを避けてA)を選びました。

一方で、インフルエンザで休んだ場合、多くの会社では有給を使って5日間強制的に休暇を与えられます。

(正確には、季節性のインフルエンザだと補助が出る可能性があります(参考:労使問題Q&A | 社会保険労務士法人 すずき事務所)が、今回はその診断が出来る前の段階で判断をしないといけない状況です)

 

言い換えると、他で使えるはずだった休みを強制的に5日間使われることになります。それが嫌な人は、病気を隠して出勤することもあるわけです。

インフルエンザで出勤してくる同僚 - BIGLOBEなんでも相談室

今回の場合では、2日間出勤し、季節性だという診断をもらえれば、5日間の休みを有給休暇を消費せずに獲得できるわけです。

A)を選んだ自分も、急遽休みを取ることになるので、引き継ぎや連絡をすることになります。つまり、有給中を消化しながらいくらか仕事をすることになります。迷惑をかけているし仕方ないと思いつつも、「有給になるなら、ちゃんと休みたい」という考えはよぎってしまいまうので、隠れて出勤する気持ちも分からないでもないです。

 

関係者へ説明する難しさ

情報が乏しいにせよ、自分で決断した以上、影響を与える関係者には自分で説明しなくてはいけなくなります。

「お医者さんがインフルエンザと診断したので、(仕方なく)休みます。」ではなく、「インフルエンザの可能性が高いと診断されたので、(自分の判断で)休みます」という説明をしなければなりません。

会社の風土や、職場での関係性によって、これもまた判断へ影響を与えるかと思います。説明自体がしにくい立場かもしれませんし、組織内で通りやすい説明に判断が引っ張られる可能性もあるでしょう。

会社への確認が取れない状況(診察中)で判断しなければいけないのは、また判断を難しくする要素だと思います。

 

まとめ

インフォームド・コンセントがあることで、医学的見地だけでなく、その人々の状況や考え方を反映した判断ができることはメリットだと思いますが、状況を踏まえて患者側が判断しなければいけないということは、難しいことであるとも感じます。

 

「この確率が6:4だったら?」「問題なく治る:再起不能=19:1だったら?」「自分が組織で崖っぷちの立場だったら?」「もしこの病気がもっと長期治療が必要なものだったら?」「自分の有給が全く無かったら?」と想像すると、自分ではもっと決断に時間を要したと思います。

 

場合によっては、インフォームド・コンセント拒否権(「もう先生の思うとおりにしますから」権)とかあってもいいのでは、と思いましたが、それもまた手続きとか問題がたくさん出てきて難しいのでしょうね。

 

そもそも怪我や病気の時は大変な状況になるのは当たり前なのかもしれないけれど、そういう状況だからこそできるだけ楽したいと思ってしまいます。

 

まとまりもないですが、療養中なのでこのへんで。